本年 2020年の最後の投稿になることと思います本日ご紹介させていただきます『アガベ』は......クリソグロッサ】Chrysoglossa になります

成苗となり大きく成長してしまうと、細葉で魅力的な品種とは言い難いためか、マイナーな品種でありますが、若苗時はなかなか魅惑的で趣のある容姿の品種かと思います。
前サイトでもご紹介しており、内容が重複する部分が多々あるかと思いますがご了承願います

まずは学名から...... Agave chrysoglossa I.M.Johnst.(1924)
1924年にイワン・マレー・ジョンストン氏によって命名されました
Ivan Murray Johnston 「イワン・マレー・ジョンストン」(1898年生~1960年没)......アメリカの植物学者で、氏の収集した植物コレクションは「ランチョ・サンタ・アナ植物園」やハーバード大学の「グレイ・ハーバリウム」(グレイ植物標本館)に収容されています。氏の関心のあった植物は『アガベ』ではなく、「根茎性ベゴニア」や「精子植物」(コケ・シダ)や「アカシア」などであったようです


ジョンストン氏の名前は、前サイトにて【ソブリアssp.ソブリア】のご紹介時に、シノニムとして、Agave sleviniana I.M.Johnst. 【スレビニアーナ】の学名をご紹介しておりました。
また、調べてみましたら、他に『アガベ』を命名した品種では、Agave owenii I.M.Johnst.【オウェニー】があり、これは【アンガスティフォリア】Angustifolia のシノニムであるようです

話を本種【クリソグロッサ】Chrysoglossaに戻しまして......
この品種名の意味は......「chryso」クリソはラテン語で「金色の」を意味します。
glossa」グロッサは、化粧品の「グロス」からも連想される通り「光沢」「輝き」を意味します。
「金色の輝き」という言葉の意味になりますが、それは本種が開花した時の花序(かじょ)の姿から由来しているようです。金色の黄色い花が詰まった黄金の花序が特徴的な品種であるようです。
この花序は、同系であります【ビルモリニアーナ】Vilmoriniana の花序に似ています。
ハワード・スコット・ジェントリー氏は......「メキシコ・ソノラ州のリオ・マヨ沿いの地域で2つの種が出会い、それぞれが徐々に進化した」と指摘しております。それは、おそらく【クリソグロッサ】と何かの品種が交配して【ビルモリニアーナ】が誕生したということかと思います。
しかしながら一般的には【クリソグロッサ】はソノラでのみ分布する沿岸種であり、【ビルモリニアーナ】はグアダラハラからの南へ広がる崖の上に分布する内陸植物であるとされているようです

本種【クリソグロッサ】の外観的特徴は......葉幅は狭く、細長い葉形で、やや内側に反り返るように湾曲しています。その内側に反り返るような湾曲は、若苗時ほど顕著で、若苗時は葉は平らではなく、葉の断面は「U」の字のように溝があります。成長して成苗になるにつれ、平らで真っ直ぐな剣のような硬い葉になります。
葉縁には鋸歯はなく、葉先のスピンは長く鋭く、若苗時ほど、その葉のマージンとスピンの色はオレンジブラウンで美しさを感じさせてくれます。
葉色は薄緑から青みがかった灰緑色で、全体のサイズは高さ2フィート、横幅は3フィート程度まで成長します

前述しました花序の姿が似ていて同系とされる【ビルモリニアーナ】との比較では......
葉幅と葉色は似ていて、葉縁に鋸歯がない点も同じですが、【クリソグロッサ】は真っ直ぐで硬い葉を持っているのに対して、【ビルモリニアーナ】は葉先が外側にアーチ状に優美な曲線を描き、柔らかくしっとりした葉を持っています。
もう一つの違いは【ビルモリニアーナ】は開花後、花序に沿って驚異的な量のクローンを生成しますが、【クリソグロッサ】は生成しないようです。
どちらも通常は根茎から仔株は生成します


また上記2品種は、サポニゲンという成分の濃度が高く、地元の地域では「アモール」Amole(石鹸)と呼ばれ、葉を切って乾燥させ、布を洗うための石鹸・洗剤として使用されていたそうです。
別名を【Another Soap Agave】とも呼ばれているようです

最後に......【クリソグロッサ】は、【アテナータ】Attenuata、【ニザンデンシス】Nizandensis、【オカヒー】Ocahui などと同じ『Amolae』グループに属しているようです

では、画像をご覧いただきましょう
幼苗から3年8ヶ月栽培している個体で、逆の時系列でご紹介させていただきます
『参考画像』として、【ビルモリニアーナ】があればよかったのですが、当方は持っておりませんので、外観が似ている部分がある【ブルーグロー】と【笹の雪×レチュギラ】を
そして上記文中に登場しました『Amolae』グループの【オカフィ】【アテナータ】【ニザンデンシス】の画像
を1枚ずつ載せておきましょう

アガベ』  【クリソグロッサ】      Chrysoglossa

文中で「平らで真っ直ぐな剣のような硬い葉」という説明をいたしましたが、それが頷けるような画像かと思います。下葉の基部の痛みが残念な画像ですが
1~3枚目まで、本年2020年11月16日の撮影です

2020-11-16④
管理名【クリソグロッサ】     H=31cm  W=37cm  鉢サイズ24cm

個体の中心となるべき成長点が、かなり右側に傾いてしまっています
一方向からしか陽の光
を浴びていないと、このようなことに
2020-11-16①
ズームアップしてみましょう
葉縁に鋸歯はないですが、葉先のスピンは長く鋭いものです

2020-11-16⑦
次の2枚は、↑の1年前 2019年11月12日の画像です
この1年前より、かなりサイズアップして、その外観の美的
な魅力感は薄れてしまいましたが、それはしょうがないことです
2019-11-12②
上から撮りますと、更に魅力度は薄れてしまいますが
2019-11-12③
次の3枚は、↑の約1年前 2018年10月24日の画像です
この個体、この品種が、もっとも美しく
、もっとも魅力的に見える時期だったかと思います。
幼苗時~この頃までの若苗時は、葉の先端が内側に反り返る
感じで成長し、葉色もこの頃までは青みを帯びた色だったと思います
2018-10-24①
葉のエッジをスムースにした【ブルーグロー】に似た感がありますな
2018-10-24④
洗練された繊細な細葉のフォルム、鋭いスピンと葉のマージンを彩るオレンジブラウンのカラー、ホワイトブルーの葉色、とても魅力的な個体に見えます この画像を本日のメイン画像にしましょう
このフォルムを保ったまま成長してくれれば、本種も人気のある品種となっていたことでしょう

2018-10-24⑤
次の2枚は、↑の3ヶ月半前 2018年5月5日の画像です
3ヶ月半で、ぐぅ~んと成長したことが分かります

シルエットが美しい
若苗の個体です
2018-05-05①
若苗時は葉先が内側に反り返り、葉の断面も「U」字型のような溝があるように成長する傾向があるようです。それは成長とともに、平らで真っ直ぐな葉に変わっていきます。
ちなみに同系と言われる【ビルモリニアーナ】は、葉先は大きく外側に曲がり
曲線を描きます
2018-05-05⑤
次の2枚は、↑の約7ヶ月前 2017年10月14日の画像
より繊細
さを感じますね
2017-10-14④
この頃は【ペローナ】Pelonaという品種に似ています。
【ペローナ】は葉先のスピンがもっと長く、成長も遅い小型の矮性品種です

2017-10-14③
次の2枚は、↑の2ヶ月前、入手時の2017年8月24日の画像です
鉢のサイズは、現在と変わっておりません

この3年7ヶ月後が、一番最初の画像
に成長した姿ということになります
2017-08-24③
上から撮っても、葉先の反り返りがよく分かる画像です
2017-08-24⑤

『参考画像』 *:・'゚☆ .:*゚..:。:*:・'゚☆ .:*゚..:。:*:・'゚☆ .:*゚..:。:*:・'゚☆ .:*゚..:。:
ここからは、『参考画像』としてご覧ください

アガベ』  【ブルーグロー】Blue Glow
幼苗時は【ペローナ】、現在は【ブルーグロー】に似ているといった感じでしょうか
2020-11-04①

アガベ』 
 【レチュギラ × 笹の雪】
                        Victoriae-reginae × lechuguilla

似ているとまでは言い難いですが、何となく目に留まったので、この品種の画像もUPしておきます。
【レチュギラ × 笹の雪】の名前で入手した個体で、本日ご紹介しております【クリソグロッサ】と同時期に入手して3年8ヶ月栽培している個体です。
【笹の雪】と【レチュギラ】のハイブリッド種ということですが詳細はまだ調べておりません


『追記 2021/9/25』
【レチュギラ × 笹の雪】より【レチュギラ × 笹吹雪】である可能性のほうが高いようです!
実際、この画像を見ても、かなり【笹吹雪】寄りの姿形に見えます

2020-11-16①

アガベ』 
 【オカヒー】Ocahui
本文中に書きました『Amolae』グループの個体画像を、参考までにUPしておきます
まずは【オカフィ】(オカヒー) 

【オカフィ】も、様々なタイプが【オカフィ】として紹介されていて、その実体が掴み辛い品種でありますが
、この画像の個体は40年以上前に【オカフィ】として国内に輸入された個体の子孫だということです。
その外観的には、純粋な【オカフィ】でなないような気がします

・・・ということを付け加えておきます
2018-10-07⑤

アガベ』 
 【アテアータ】Attenuata
『Amolae』グループその2は、【アテナータ】
『アガベ』から想像される外観とは、かけ離れていますがメジャー
な品種です。
ちなみに、この【アテナータ】と↑の【オカフィ】の交配によって誕生したのが、【ブルーグロー】なのです

2018-10-03①

アガベ』 
 【ニザンデンシス】Nizandensis
『Amolae』グループのその3は、【ニザンデンシス】
この画像
は4年前の画像で、既に枯死してしまっている個体です
う~ん
無事でいてくれたら、今頃どんな姿になっていたのか
残念なことです

2016